西村 満 展 10月12日(金)〜23日(火)  羊画廊
NISHIMURA Mitsuru Exhibition  12October.-23October. 2012  HITSUJI-GARO
昨夜は真夜中にすごい雷と豪雨があった。はっきり眼の醒めないうつらうつらの状態で、一晩中その音を聞いていたような気がする。
時々イナズマが光り、激しい雷鳴がやって来るまでの時間を、なかば夢の中で数えていた。
今朝は雨はやんでいたが、空は曇っており、久しぶりに涼しい風が部屋に吹きこんでいた。ちょうど秋の初めを思わせるようだった。
終日画室で過ごし、夕方近くなってふと海へ行ってみようと思い立った。

私は季節の中で、あの夏の日の終わりのひっそりとした浜辺の感じが一番好きだ。それは季節と言うにはあまりに短い。
夏の日の射るような太陽と賑わいと。それが8月も半ばを過ぎると海は急にさびしくなり、やがてひっそりと取り残されて、
無心に砂を洗う波の音だけが単調な調べを奏でている。
やがてそんな季節がやって来る。その日に私は失っていた自分を取り戻す。
そして何か人生的な気持ちで胸を締め付けられながら、どこまでも、荒れた、さびれた浜辺を歩く。(西村 満)
「夏の終わり」 97.0×194.0cm
キャンバス、油彩 1996年
 
2012.10.12 会場風景