原 陽子
「何にもまして重要だというものごとは
なににもまして口に出して言いにくいものだ」

ある本の中の一文だが、作品をつくっていてこのように感じることが
多々ある。絵は言葉とよく似ていると思う。
頭の中で考えている時は無限に思えることでも、いざ形にしてしまうと
実物大の広がりしかなくなってしまう。何にもまして重要なものごとは
奥に埋もれているその近くに在るものだ。
いろいろなものが混じった、曖昧な未知なものの中からのぞく面影。
私が描いているものはそういうものなのだろう。
【損なうもの#2】 59.0 × 49.0 cm エッチング・アクアチント 2005年